
ありがとうございます。
心理カウンセラーの島幸樹です。
相手の話を聴くときは、相手からボールを受け取ろうという姿勢でありたい思う。
相手にボールを投げようという姿勢で聴いていると、相手はどんな気持ちになるんだろう。#聴く #傾聴 #人の話— 島幸樹@心理カウンセラー (@sachi_juku) January 24, 2020
相手が話すことをただひたすら聴くということは、相手が投げるボールを受け取るということです。
それも最後まで。
会話はキャッチボールというから、お互いに受けて投げて受けて投げてができたら、それはもちろん楽しいです。
でも相手がまだ投げ終えていないのに、こちらからボールを投げてしまうとコミュニケーションはちょっとおかしくなってしまうことがあります。
聴くということは相手からのボールを受け取ろうという姿勢でありたい。
聴いているようでいて、相手にボールを投げたがってしまうと、相手は「聴いてもらえていない」と感じるんだと思います。
でも、どうして話を最後まで聴くことができないんでしょうか。
それは聞き手には聞き手の受け取り方があるからです。
その受け取り方は心の奥の方にあったりして、何かこう、ザワザワ、ワサワサとして聴いていられなくなるからです。
たとえば今日一日、汗水たらして一生懸命働いて、どうしようもなくしんどくて疲れたけれど、仕事が終わるころにふと空を見上げると、とても美しい夕日が自分を包み込んでくれて、「ああ、この瞬間のために今日一日の苦労があったんだろうな」と思えたとします。
その人はそれで最高の幸せを感じることができたとします。
そんな日に友だちから電話がかかってきて、「自分は家から一歩も出ないで、何のしなくてもお金をかせぐことができて、それで一生幸せに生きていたいと思うんだ。なぜそう思うかというとね……」という話を延々と聞かされるとすると、どうでしょうか。
最後まで聴けないかもしれません。
相手が話してくるその話によって、何かこう、ザワザワ、ワサワサしてきて聴いていられません。
そのザワザワ、ワサワサする気持ちのことを心理学では「コンプレックス」といいます。
コンプレックスというと、足が遅いとか勉強ができないとかいう劣等感の意味がありますが、心理学的なコンプレックスという意味はそれよりももっと広い意味です。
複雑にいろどられた心的複合体といったりしますが、何かの出来事にたいしてザワザワ、ワサワサとする複雑な心の「何か」です。
オレンジ色の服を着た人を見るとイライラするという人がいます。
あまりいないと思いますが、そういう人も世の中にはいます。
もしかしたらその人は過去に何かオレンジにまつわる嫌な出来事があったのかもしれないし、それは何かわかりませんが、オレンジというものに心がザワザワするんです。
それがコンプレックスです。
さて、
話を聴くというとき。
話をしている本人は、当然ですがその人本人の話をしています。
自分の話。
話を聴くときは、聴いているこちらとしてはその話し手の人の話に興味があるわけです。
「昨夜食べたカレーがめっちゃおいしかった」話をその人がしているとしたら、私は例えばカレーに興味があるわけではないです。
どんなカレーだったのかにも、そこに興味があるわけではありません。
それは「わたしにとって」で聴いてしまっているように思うのです。
私の心の中にあるカレーのことで、相手の話を聴いています。
それでも聴けるときはあるんでしょうし、それで会話がお互い楽しくなるなら、それが何よりです。
けど、私が今ここで言っている「話を聴くという姿勢」の話はそれではありません。
私が興味のあるのは「その人が昨夜食べたカレーの話を、その人はどんな視点で、その人なりのどんな感覚で、しているんだろう」ということです。
カレーの話をその人がチョイスしたかった理由とか、その人にとっての美味しいかレーとはどういうものなのかとか。
同じ世界に私たちは生きているようでありながら、実はこの世界の中で私が見ている風景とあなたが見ている風景はちがっています。
あなたが感じることと私が感じることはちがいます。
そして、話を聴くということは、相手が見ている風景や相手が感じる感じを理解しようとすることです。
相手にも見えている風景や感じる感じがあるのと同じように、私にも見えている風景や感じる感じがあるわけなので、相手の話を聴いているときにその内容によっては、なかなか相手の視点、相手の感受性に寄り添えないときがあります。
それはたぶん、こちらサイドにコンプレックスがあるときです。
コンプレックスはたいてい、無意識の奥の方に押し込まれているので、「これがわたしのコンプレックスだ」とはなかなか気が付けず、けっこう自分自身を内省する訓練が必要です。
でも、それは自戒の念もふくめ大切にしたい心構えだなと思います。
相手の話を聴きながら、こちらのボールを相手に投げようとしてしまわないように。

心理カウンセラー島幸樹の「心がスーッと楽になるメルマガ」
では読んでくださる皆さんの心に届き、読むだけで気持ちがスッキリする心理学、もっと素敵に生きられる心理学をメールマガジンにてお届けしています。
どうぞご登録ください(無料)。お待ちしています。
→心がスーッと楽になるメルマガの購読申し込みはこちら
心理カウンセラー・講師 島幸樹(しまさちき)
Heart Trust Communication 代表。
カウンセリングと心理学の学びをご提供し、自分らしい生き方を見つけるお手伝いをします。
専門は教育、発達心理学/カウンセリング心理学。学習塾の経営を経て、現在は講師・研修業と心理カウンセリングを行っています。
大阪生まれ。奈良在住。
さらに詳しい自己紹介はこちら。