
ありがとうございます。
心理カウンセラーの島幸樹です。
でんでんむしのかなしみ、という新美南吉さんのお話があります。
「ごんぎつね」の新実南吉さんですね。
ごんぎつねも考えさせられるけど、この「でんでんむしのかなしみ」もまたしんみりと感じ入るところがあります。
とても素敵なお話です。
ある日、でんでんむしは自分の背中の殻の中に悲しみがたくさん詰まっていることに気がつきます。
それで、これはマズイと思っていろんな仲間に相談するんですね。
そうすると、なんと皆も同じように背中に悲しみを負って生きている。
そうか、自分だけじゃなかったのか。
と、そんなお話。
そう。
私もこれは素敵なお話だと感動しましたし、仏教的?なお話だなって思いました。
悲しみというのは誰もが持っていて、生きている限りそれを負いながら生きている。
で、こんなものを背中に抱えていたらダメなんじゃないか!? やばいことなのではないか! 生きていけないんじゃないか!
とでんでんむしは不安になるわけだけど、いや、そんなはずはないと私も思うのです。
みんな楽しいことやワクワクすること、前向きな気持ちと強い心だけを持っているわけじゃない。
ポジティブな気持ちをしっかりと持って生きていくんだ、とか。
ネガティブな感情や思考も見方、とらえ方をプラスなことに変えていくんだ。
とか、そういうポジティブ絶対主義のような考え方が最近聞こえたりすることもあるけれど、そんなものでもないと私は考えます。
人はネガティブな感情も持っています。
マイナスなことも考えるし、感じるんです。
そして、そこには必ず意味がある。
悲しみという感情も、必ずそれは何か特別な意味があります。
だから、ああ、自分はこんなつらさを抱えているんだな。
こんな嫌な気持ちを持っているんだな。
こんな悲しみが心にずっとあるんだな。
こんなネガティブな自分がいるんだな。
それを吐き出せる場所は必要だと思うし、自分自身のその感情の気づきは大事なことって思うのです。
心の中にある感情は、喜びやワクワクだけじゃない。
悲しみも怒りもある。
喜怒哀楽っていうけれど、ほんとのところはその4つだけでもない、
もっとたくさんの感情があって、どの感情も必要な時に必要な分だけスポットライトを浴びる時間があっていいはずです。
そんなことを考えました。
でも、
冒頭に挙げた「でんでんむしのかなしみ」の最後の方の一文。
わたしは、わたしの かなしみを、こらえて いかなきゃ ならない
「でんでんむしのかなしみ」 新美南吉
それをこらえるという表現にしたところが、いかにも日本人らしいなぁと私は思いました。
だけど、こらえていなかきゃならないわけでもないんじゃないかな……とも私は思いました。

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心理カウンセラー・講師 島幸樹(しまさちき)
Heart Trust Communication 代表。
カウンセリングと心理学の学びをご提供し、自分らしい生き方を見つけるお手伝いをします。
専門は教育、発達心理学/カウンセリング心理学。学習塾の経営を経て、現在は講師・研修業と心理カウンセリングを行っています。
大阪生まれ。奈良在住。
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