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奈良・大阪│Heart Trust Communication

身体と身体の触れ合い

2020年4月19日
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いつもありがとうございます。
心理カウンセラーの島幸樹です。

人間は他の哺乳類に比べ、母体から誕生しても長い間、母親から物理的にも心理的にも離れることができません。
ものをつかむこともできないし、歩くこともできない。
特に母親、周りに完全に依存しなければ生きていけないのです。

生物学者のポルトマンという人が、こうした人の誕生について「生理的早産」という名前をつけました。
人間の脳と身体が完全に整い機能するためには21か月間、胎内で育っている必要があるそうです。
ところが直立二足歩行を身につけた人間の母親は骨盤周りの筋肉が発達したことによって、産道が圧迫されるようになりました。
それだけでなく、人間は脳の発達により頭が大きいので完全に機能するまで胎内にい続けると、生まれてくることができないのです。
そこで私たちは本来発育に必要な胎内での生活よりもほぼ1年早く、この世界に生まれることになりました。

というわけで私たちは、生後特に1年間くらいは、自分が生きるために必要なほとんどすべてのことを、親や周りの大人たちに依存しなければいけません。
そして幼い私たちは命に関わるこの期間の他者との関わりを一生涯ずっと、皮膚にしみこませたまま生きていくことになるのです。

心理学ではこの他者との関わりのことを<ストローク>といいます。

私たちはストロークなしでは生きていくことができないのです。

当然、私たちの心に一番強く残っている記憶は、肌と肌の触れ合いです。
生まれて初めての体験は親の抱っこだったし、その後も体を撫でられ、頭をさすられて生きてきました。
ストロークの中でも私たちにとって最も基本的で、最も大切なものがこの肌と肌の触れ合い、つまり「タッチ・ストローク」です。
握手、ハイタッチ、背中を押す、など小さいことから挙げればっタッチ・ストロークはたくさんあります。

今のこのコロナ情勢の中、外出も人との接触が絶たれた中で、私たちの危機は、まさにこのタッチ・ストロークの不足ではないでしょうか。

炭水化物やタンパク質が私たちの健康維持に必須であるのと同様に、私たちはストロークもまたなくてはならないものです。
実際にかつて、外国のある施設で乳児への細菌感染を防ぐために親が乳児へ触れることを制限するといったことがあったそうです。
その子どもたちのうち多くの子どもは亡くなったといいます。
とてもひどい話で、今ではこのようなことはしていませんが、いかに私たちにとってタッチ・ストロークが大切かということです。

コロナウィルス感染拡大の影響で緊急宣言が出て、国民全体が外出自粛をすることになった今。
人と関わること、密着することが制限された今。
その中でも私たちができるタッチ・ストロークの交換を考えてみましょう。

それからいつか今の状況が終息し、他者との関わりがまた元通りできるようになったときに、もう一度このタッチ・ストロークの大切さを思い出してほしいなと思います。

 

最後に。

生理的早産によって未熟なままに生まれてきた私たち人間。
でもだからこそ他の動物以上に身につけることができた生きる力が「社会性」でした。
関わり合うこと、助け合うことによって私たちは今日までこうして生きてきました。
人間って素敵だなって思います。

※追記
「生理的早産」についてはアドルフ・ポルトマンの「人間はどこまで動物か」という本を参考にしました。

 

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【執筆者】 心理カウンセラー 島 幸樹(しま さちき)
Heart Trust Communication 代表。対人関係・コミュニケーションのセミナーや研修、また、教育に関連するテーマの講座と心理カウンセリングを主に行っている。人間学、臨床心理学を大学で専攻し、卒業後は学習塾の講師、教室長、また経営に15年携わり、多くの子どもたち、保護者の方たちと関わる。2017年から心理カウンセラー、心理学講師として、子どもの不登校、ひきこもりの悩みを抱える親御様、また職場の人間関係等でメンタルヘルス不調を抱える方々へのカウンセリングを行っている。
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